鏡視下手術

鏡視下手術とは

外側の周囲の組織や筋肉を殆ど損傷せずに、関節内部の病変にカメラなどで観察しながら
修復する手術法です。
具体的には、皮膚に約5mm~10mmの切開を数か所作り、直径4mmのカメラを挿入し、モニターを見ながら、病変部位を特別な器具を使用し修復していきます。
使用する器具は病態、年齢、スポーツの種類によって使い分けています。

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関節鏡で手術を行うメリット

手術創が小さい(約5mm~1cmが数か所)
術後の痛みが切開する手術より少ない

手術部の周囲の組織、筋肉を殆ど損傷しないため、早期にスポーツ復帰が可能
肩関節内をくまなく観察できるので、病変の見落としが少ない
動態的に病変の把握が可能
微小な病変が確認できる。

従来の切開手術にこうした手術が新たに加わったことで、肩関節疾患の治療の完成度が躍的に高くなり、患者さんにとっては大変有益なことだと思います。

代表疾患(鏡視下手術)

  • 反復性肩関節脱臼(外傷性肩関節不安定症)
  • 肩関節拘縮(四十肩、五十肩を含む)
  • 肩関節腱板断裂
  • 石灰沈着性腱板炎

反復性肩関節脱臼(外傷性肩関節不安定症)

転倒や衝突(スポーツなど)などの大きな外傷をきっかけに肩関節の不安定性や脱臼を生じる疾患です。
主に関節上腕靭帯という靭帯が傷ついたり剥がれたりして機能が低下し、簡単に脱臼を繰り返したり、不安感、違和感が出現します。
治療:完全に治すのであれば、手術しか方法はありません。
手術法:はがれて落ち込んでいる靭帯を十分に剥離した後に、アンカーと呼ばれる糸
付きのビスを使用し損傷した靭帯等を肩甲骨の関節窩に逢着します。このビスは骨に吸
収されます。
もちろん、病態、年齢、性別、スポーツ種目、ポジション等によって追加補強等も行います。
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手術後:装具を約3週間装着します。
    上肢をハードに使用するスポーツ復帰は約6ヶ月要します。特にオーバーヘッドスポーツの場合は、復帰するまでに下半身からの運動の連動性等を強化する必要もあります。

肩関節拘縮(四十肩、五十肩を含む)

肩関節拘縮とは名前の通り、関節の可動域制限と疼痛を主な症状とするものです。
この中に五十肩といわれているものも含まれます。
一次性…特にこれといった原因がないもの。
二次性…腱板の疾患、骨折などの外傷後、糖尿病や甲状腺疾患に合併したもの
治療:
注射やリハビリの効果が大きいため、手術に至ることはほとんどありません。まれに拘縮や疼痛が改善しない場合は手術に至る場合があります。
手術法:関節鏡で厚くなった関節包や癒着している部分を剥離します。もちろん、原因
がある場合はその部分も治療します。
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手術後:三角巾を使用しますが、術後の疼痛が軽減したら除去します。手術の翌日より肩を動かすことが可能ですが、術後の回復は個人差があり、約3か月程度で日常生活は問題なくなる事が多いです。
    もちろん手術後のリハビリも必要です。

肩関節腱板断裂

腱板断裂とは、不安定な肩を安定するために、肩甲骨と上腕骨をつないでいる腱が切れてしまっている状態です。
特に棘上筋の後方部は無理な負担がかかっているため、そこから断裂が広がりやすくなっています。そのため、一部あるいは広範囲に腱板が断裂すると、肩関節が安定せずに痛みが出現することが多いです。
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原因は転倒などのはっきりした外傷がある場合と、はっきりした原因がなく年齢等
の変性で発症する場合があります。
治療
腱が切れていても注射とリハビリで症状が軽快したりすることがあります。
ただ、腱板が断裂した状態で、注射やリハビリしても切れた腱は自然修復の可能性は極めて低く、また、断裂部が時間と共に広がり、筋機能が低下していくことが多いです。
そのために、リハビリを3か月ぐらい行っても症状が残っている場合は手術を勧めます。
手術法:肩関節周囲に約5mm~1cmの切開を数か所加え、カメラと器具を使用し、アンカーと呼ばれる糸付きのスクリューを骨の中に挿入し、その糸を利用して断裂した腱板を縫合します。
写真や図
手術後:手術後は装具を3~6週間装着します。
     (装着期間は断裂の大きさや筋肉の質によります。)
     復帰時期は、日常生活は約2か月、中作業は約3か月、重労働、ハードなスポーツは約4~6ヵ月が復帰の目安です。
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石灰沈着性腱板炎

石灰沈着性腱板炎は、腱、滑液胞などの関節周囲に石灰が沈着し発作時には激痛を生じ、中年女性に多い疾患です。
治療
通常は注射等で軽快しますが、肩の動きが悪いとリハビリが必要になります。
難治性の場合は手術により石灰を摘出し、摘出した欠損部は縫合します
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手術や手術後の固定やリハビリ等は腱板断裂と同様に行っていますが、回復は腱板断裂の場合よりかなり早いです。